あなたの胃の調子はいかがですか?
胃にはたくさんの病気があります。
あなたの胃の調子はいかがですか? 胃にはたくさんの病気があります。
胃潰瘍、慢性胃炎、急性胃炎、ポリープ、胃がん・・・・ まだまだたくさんあります。
このうち胃潰瘍や胃炎などはおなかが痛いとかもたれるなどの自覚症状があることが多いですが、胃がんやポリープなどは自覚症状がないことが多く、症状が現れてからでは手遅れになることがあります。とくにがんは日本人の死亡原因の中で1番多い病気で、その中でも「肺がん」とならんで「胃がん」は最も多い病気です。でも胃ガンは早く見つければ治る病気です。
実は交通事故による死亡者数も1970年(昭和45年)には1万6765人でした。これが40年余りの間にどうやって4分の1に減少させることができたのか?内閣府発行の交通安全白書によると以下の要因を挙げています。
1.シートベルト着用率の向上
2.飛ばし過ぎによる事故が減った
3.飲酒運転等の減少
4.車の安全性が飛躍的に向上
5.救急医療体制の整備
交通事故と同様、胃がんも死亡者数を大幅に減らせる可能性が高いのです。 なぜなら胃がんは早期の段階で発見されれば、ほぼ100%治癒する治療成績の良い病気だからです。ですので、以下のことに取り組むことが胃がんによる死亡リスクを大幅に下げることができます。
1.年に1回は胃カメラを受ける(特に医師からリスクが高いと言われた方)。
2.ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染の有無をチェックする。
3.医師の指示のもと、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)を除菌する。
4.食事での減塩、禁煙。
5.胃がんと診断された場合は、信頼できる医師を受診する(紹介状を持って)。
ピロリ菌は胃がん・胃潰瘍や十二指腸潰瘍・萎縮性胃炎・胃MALTリンパ腫など胃を中心とした様々な病気の発生や進行に関係していると言われています。 以前は、日本の医療において保険適用でピロリ菌の感染診断・除菌治療(1,2次除菌)が行えるのは、
1) 胃・十二指腸潰瘍
2) 早期胃がん内視鏡治療後
3) 胃MALTリンパ腫
4) 特発性血小板減少性紫斑病 がある場合のみでありましたが、
5) 内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた場合
という項目が平成25年2月21日より追加になりました。
つまり、胃カメラを行って、ピロリ菌によると思われる胃炎が認められた場合に限り、ピロリ菌の感染診断を行うことができるようになりました。
さらにピロリ菌陽性と判定された場合は、ピロリ菌関連胃炎に対しても保険診療で除菌治療が行えるようになりました。ただし、胃炎の診断は胃カメラ検査を行った上で判断しないといけないという決まりとなりましたので、胃カメラ検査を行わずにピロリ菌診断や除菌治療は保険診療では行えません。
上記疾患がない場合には、感染診断・除菌治療は自費診療となります。
胃がんの原因はピロリ菌だけでなく、塩分の過剰摂取や喫煙、飲酒、食習慣の欧米化、遺伝とも密接に関連しておりますので、胃カメラ検査による胃がん・胃十二指腸潰瘍の有無や萎縮性胃炎の評価・胃内分布などを定期的に調べるように強くお勧めします。
また、ピロリ菌除菌後にも萎縮性胃炎(胃の老化)は残るため、胃がんの発生がないかどうかの確認を定期的に行い、胃カメラ検査による厳重な経過観察を行うことを合わせてお勧めします。
最近テレビなどのメディアなどでもよく取り上げられているので、名前だけは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
ピロリ菌は人の胃の粘膜に生息しているらせん形の細菌で、正式名はヘリコバ クター・ピロリ菌と言います。ピロリ菌は1983年 にオーストラリアのロビン・ウォレンとバリー・マーシャルにより発見されました。
ピロリ菌は4~8本のしっぽがあります。このしっぽをヘリコプターのように回転させて移動することから、ヘリコバクター・ピロリと名付けられました。体長は約4ミクロンと、とても小さく鞭毛を動かして移動します。多くの細菌は胃の中で は生きていけませんが、ピロリ菌は胃の粘膜にもぐり込み自分の持っている酵素 (ウレアーゼ)によって胃酸を中和し、胃の中でも生き続けることができるのです。
日本では年齢とともにピロリ菌を持っている人が増えていき、40歳以上では約70%の感染率で、全国民の約半数が感染しているとされています。
人から人への経口感染(口から口)や井戸水などの水からの感染がほとんどで、家族内での父母や祖父母から子供への感染(食べ物の口移しなど、一度口に入れた食べ物を子供に与える事など)などで多くが5歳までの幼少時に感染します。
ピロリ菌が胃に感染すると慢性活動性胃炎と呼ばれる持続的な炎症を引き起こし、次第に胃粘膜が萎縮(胃粘膜が薄くなる現象)していきます。
胃粘膜の萎縮とは言い換えると「胃の老化現象」のことで、胃酸の分泌が減少していき、消化不良や胃の不快感などの症状が出現してきます。
一度ピロリ菌に感染すると、年齢とともに胃粘膜の萎縮(胃の老化)が次第に進んでいき、強い胃粘膜の炎症が持続して、胃がんの発生リスクがより高くなることが判明しています。
胃粘膜の萎縮(胃の老化)が高度に進行すると、胃の粘膜が腸の粘膜に置き換わる「腸上皮化生」という事態に発展してしまい、むしろピロリ菌が生息できないほど荒れた胃粘膜の状態となり、ピロリ菌が消失してしまうことがあります。このように胃粘膜が「腸上皮化生」の状態になった場合には、ピロリ菌が自然消失してしまい、ピロリ菌が陰性と判定されても、実は最も胃がんのリスクが高い状態にあり、注意が必要となってきます。
ピロリ菌の感染者は、全くピロリ菌に感染したことがない人に比べて胃がんのリスクは10倍以上であることが報告されていますので、注意が必要です。
除菌治療によりピロリ菌が消失することによって胃がんの発生リスクは減少しますが、一度進んだ胃粘膜の萎縮(胃の老化)は残るため、胃がんの発生が見られないかどうか1年に1回の定期的な胃カメラ検査が重要となってきます。
また、ピロリ菌除菌前には胃カメラ検査による萎縮性胃炎などの胃炎の評価・胃内分布などや胃がんの有無を調べておくことを強くお勧めします。
FAX.06-7898-2813